自己破産したときのデメリットに一定以上の財産を処分しなければならないというものがありますが、これ以外にも特定の職業に就くことができなくなる資格制限があります。
これに該当するものは警備員や司法書士、弁護士、生命保険の募集人など様々なものがあります。
これらは破産法によって規定されているものではなく、それぞれの職業に関連する法律によって制限されています。
もし自分が該当しているのか分からない場合は弁護士などの専門家に相談して確認すると良いでしょう。

なお、医師や看護師、薬剤師などの医療関連に関してはこの制限はありません。
また、その他に資格としては、代理人や後見人、遺言執行者なども制限を受けます。

自己破産したときに自分が該当する職業に就いていた場合、即座に失職してしまうのかというと、必ずしもそのようなことはありません。
例えば警備業であれば会社が定期的に状況をチェックしていることがありますが、そうでない場合はこれを把握できないため、
自己申告しなければ気付かれないこともあります。
しかし、気付かれた場合は法律によって制限を受けているので仕事を続けることができなくなります。
ただし、失職したまま元に戻れなくなってしまう心配はありません。
これは永久に制限を受けてしまうものではなく、手続きを開始してから復権するまでの期間だけです。
それ以降であれば影響を受けなくなるため、復職したり、該当する職業に就職できるようになります。
復権するための条件にはいくつかあり、一般的なものでは免責許可の確定などがあります。
具体的な期間は手続きが簡易な同時廃止であれば3、4か月になり、管財事件でも6か月から1年程度であるため、制限は短期間と言えます。

自分が制限を受ける職業に無縁であれば、自己破産を理由にして会社が社員を解雇することは禁止されているのでこのデメリットは全く気にする必要がありません。
該当している場合でもチェックが行われなければそのまま仕事を続けられます。
制限によって失職や一時休職になってしまうと復職するまで収入が途絶えてしまうので、これを避けたい場合は個人再生などで債務整理を行わなければなりません。
資格制限があるのは自己破産だけであるため、他の債務整理であればこのデメリットを受けずに済みます。

このように制限は短期間であり、そもそも影響を受けない場合もあるのでデメリットとしては深刻なものではないため、借金の返済が不可能になってしまった場合には自己破産を検討すると良いでしょう。